筋トレをしている方から、「体重1キロ当たり2.0gのタンパク質が必要」と言う話しをよく聞きます。これを検証してみたいと思います。
まず、一般的なスポーツクラブでもプロテインを飲んでいる人は多いと思われますが、最低限必要な知識として、十分なカロリー(主に炭水化物)が摂れていない場合、タンパク質を多く摂ったとしてもそのタンパク質はエネルギー源として使われるというのがあげられます。また、運動後に必要なのは筋肉中の枯渇したグリコーゲンを回復させることなので、最も重要なのは炭水化物です。
運動後の炭水化物とタンパク質の黄金比率は3:1と言われています。
では、体重当たりどれぐらい必要なのかということになりますが、テニスの錦織選手や、フィギュアスケートの浅田真央選手に栄養指導をした管理栄養士は、タンパク質を1.4gまで増やした場合は効果が認められるが、それ以上は大きな効果が認められないというデータを元に説明をしています。その他、タンパク質を一定以上摂った場合、多くなるにつれて、エネルギー源として使われる量が増えることや、タンパク質の多い少ないということよりも運動後になるべく早く食事を摂る、摂取カロリーが消費カロリーを下回らないようにしっかり炭水化物を摂ることの重要性を強調しています。
尚、アメリカスポーツ学会では、スポーツ選手に対し、炭水化物の摂取率70%以上を推奨しています。
厚生労働省がだしている日本人の栄養摂取基準もおおいに参考になります。3大栄養素(カロリーのある栄養素)の割合は以下の通りです。
炭水化物:50~65%
タンパク質:13~20%
脂質:20~30%
ある管理栄養士の方は、炭水化物:60%、タンパク質:15%、脂質:25%を勧めています。
ただし、厳密にカロリー計算をするわけではなく、お弁当箱に詰めた場合を想像して、ごはんとおかずを6:4にすれば自然にこの数字に近くなるというものです。
別の言い方をすれば、一汁一菜や一汁三菜の中でごはんとおかずを6:4にするということになります。
尚、上記の%を少しだけ変更すると、炭水化物:60%、タンパク質:20%、脂質:20%
になり、黄金比率と言われる炭水化物とタンパク質がぴったり3:1になります。
独自の調査結果では、肉、魚、卵をたくさん食べ、これに加えてプロテインドリンクを頻繁に飲むと、お腹の調子が悪くなり、おならが出やすくなるという例が多く見られました。年末におかず中心のご馳走が続いた場合もそうですが、これらの症状はすでにタンパク質の取りすぎが考えられます。タンパク質の過剰摂取は腸内環境が悪化しやすいのです。
スポーツ選手は、食事をラーメン、カレーライス、牛丼などの単品ではなく、毎食、できるだけ定食(一汁三菜)にし、おかずに肉、魚、卵などが含まれていれば、実はタンパク質不足は起きにくいのです。
炭水化物:60%、タンパク質:15%、脂質:25%
この比率を変えずに、食べられる人はたくさん食べる(特に運動後)ことをスポーツ選手に推奨している団体もあります。比率を変えなくてもたくさん食べれば自然にタンパク質を多く摂ることになります。あとは、体重や体脂肪率の変化をみながら食べる量を調整することになります。どんぶり勘定のように思われた方がいるかもしれませんが、厳密に計算をする必要はありません。また、一般的に思われていることとは違い、炭水化物をたくさん食べてもスポーツ選手は太らないことが多いのです。
結論
タンパク質のみをたくさん摂るというのは、良い結果が生まれにくい。
競技としてスポーツをしている人は、カロリー不足になりやすいので、炭水化物、タンパク質、脂質の割合を極端に変えずにたくさん食べてみる。その後、体調、体重をみて量を調整していく。
尚、タンパク質を多く摂っても、カロリー(炭水化物)が不足していれば、タンパク質がエネルギー源として使われるというのは、身長を伸ばすための食事の考え方にも当てはまります。